一般合格者は私立大学入学者の約半分(!)国立の「人物評価」。今の教育はどう変わっていくのだろうか。
今日面白いアルバイトの話を聞きました。
内容は、「高校生の学習を電話で激励する」というもの。
大学受験に向けて頑張っている高校生を応援するということなのかな、と思いましたが、実際は「推薦入試やAO入試で既に大学で合格している高校三年生が対象」とのこと。
一般入試で大学に入学する人は私立大学全体の約半分(!)
推薦やAO入試で入学した学生は、実は私立大学入学者全体の合格者の50%以上いるそうです(!!)
ところが彼らは一般入試で入学した生徒と比べ、学力が低いという問題点を指摘されています。
私も、大学に一般入試で入って推薦やスポーツ推薦で入ってきた同級生の学力に驚いたことがあります。(「藪から棒に」を知らない人。九九を間違える人!等)
こういう学生は中には大学の授業についていけず、中途退学してしまう人もいるそうです。こういった事は、大学にとっても、社会にとっても大変な損失です。
入学前準備教育(でもその効果は微妙?)
そういった問題を解決するべく、導入されているのが入学前準備教育です。
「 入学前準備教育」は、大学で学んでいくための基礎学力を確認し、補うための特別な授業です。聖学院大学│入学前準備教育
この入学前準備教育は、様々な大学で実施されているそうです。(入学前準備教育 - Google 検索)
ただ、入学前準備教育を実施する時期、大学は入試の準備、後期試験、一般入試等で大変忙しい時期です。
なので、この入学前準備教育を外部機関に委託している大学も多いそうです。外部機関は、e-learningや通信教育などでこの入学前準備教育を行います。ただ、通信教育となると、勉強しない高校生も当然出てくる。(そりゃそうです)
そこで、このような生徒の学習を電話で激励したり、学習指導するというのが、最初に出てきたアルバイトだそうです。
しかし、私が推薦入試で入ってきた子の常識の無さに驚いたときも、入学前準備教育は実施されていたようですから、この制度にどれほどの効果があるのかは疑問です…。大学によって差があるでしょうし、いろいろ改善する必要があるのかもしれません。(その子がちゃんとこの制度を利用していなかったのかもしれません。それをやらせるのも大事ですね。)
一般合格者とAO・推薦合格者の所得格差
AOや推薦合格者は一般合格者と比べて、就職内定率や卒業後所得も低い傾向にあるというデータもあります。
就活内定率が高いのは、AO入試より一般入試経験者 - 学科試験がカギか | マイナビニュース
AOや推薦合格者の卒業後所得は低いというデータも!国公立大入試の「人物評価重視」は正しいか? | 高橋洋一「ニュースの深層」 | 現代ビジネス [講談社]
受験を知らない子供たち、懸念は学力低下より突破力 | オリジナル | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト
「人物評価」入試への疑問と日米の教育の違い
国公立が人物評価重視の選考を行うというニュースもありますが、こういった問題点を考えるとその行方も少し心配になってきました。
AOや人物評価選考では、学生の多様性を広げるというねらいもあるのでしょうが、学力低下は免れないのでしょうか…
こうしたアメリカの大学を模倣した入試を導入する前に、「入るのは難しいが卒業するのは簡単」な日本の大学の仕組みや、「受動的な詰め込み教育」を廃し、義務教育や高校で生徒の多様性を育む仕組みをつくるべきではないでしょうか。
(アメリカでは初頭教育から自分の意見を論理的に発表する授業やディスカッションの授業があるそうです。聞きかじった程度ですが…)
ディベートと日本の教育における問題点 - 白熱のディベート教室
“Buckingham Browne & Nichols School(以後BB&N;)で授業参観した際に,5年生の教室で先生が私達を児童に紹介し「子供達に質問があったら何でもしてみてください」 と言われる場面があった.私達から児童たちへのいくつかの質問の中に「日本のスポーツ選手で知っている人はいますか?」というものがあったが,すぐには回 答がなく,しばらくたってから「アッ,知ってる,知ってる,ヒデオ・ノモは日本人だ」との答えがあり,次に「たしか,スケートのクリスティー・ヤマグチも 日本人じゃなかったかしら」という返事が返ってきた.その後,しばらく児童たちでワイワイ言い合っていたが,「なぜ,私達は日本のスポーツ選手を知らない のかしら」「私達がテレビで見ているのは国内のスポーツだけだからさ」「つまり情報源が偏っているということになる」「ということは発信する側の情報を一 方的に受け入れずに,こちらから必要な情報を求めればよいということになる」「ただし,なぜ外国のスポーツ選手を知る必要があるのかは別問題」などのやり とりが展開された.日常の些細な事象を通して「懐疑的」あるいは「批判的」な思考力を育てようとする姿勢が垣間見られる場面であった.” 出典:玉川大学 第4・5回海外教育事情(連携)視察報告(1995-1996)
これから必要とされる人材と教育
現在インターネットやスマートフォンの普及によって簡単な知識はすぐにネットから調べることができます。
そのような今の時代に必要なのは、どんな知識が問題解決に必要なのか辿り着く道筋とか、「なぜそうなったか」と物事の因果関係を考える視点とか、「問題はなんなのか」とかそういうことを自分で考える事なんじゃないかと思います。「~~時代の重要建築物を3つ書け」みたいな詰め込み教育だけじゃダメなんじゃないかな。
これまでの日本の教育は企業戦士としてピラミッド的組織のなかで上からの指令をガンガン実行する人材を育てるにはよかったかもしれないです。
ただ、今のように環境の変化のスピードがより速く、その環境に対応するために一人ひとりが問題を見つけて解決しなければいけないようなライン型組織では、考える人材が必要とされていると思います。
育てる人の役割やツールは時代によって変わるから、その時代にあった教育に変えていく必要があると思います。
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